横綱大鵬像、生地サハリンへ
母出身の秋田で制作
大相撲の元横綱大鵬で、昨年1月に72歳で亡くなった納谷幸喜さんの銅像が完成し、秋田県大潟村で11日、除幕式が行われた。村内のホテルで今月中旬まで展示された後、納谷さんが生まれたロシア・サハリン州ポロナイスク市に贈られ、生家跡に設置される。
大鵬像は青銅製で、高さ2メートル27センチ、幅71センチ、重さ260キロ。秋田県在住の彫刻家鎌田俊夫さん(69)が1年近くかけて制作した。
銅像の設置はポロナイスク市が計画し、それを知った鎌田さんが制作に名乗りを上げた。大鵬ファンという鎌田さんは「ロシアと日本の草の根の文化交流として取り組んだ。大鵬の強さ、優しさ、威厳を表せた」と語った。
納谷さんの母キヨさんと妻芳子さん(66)は秋田県出身。除幕式に招かれた芳子さんは「サハリンに一緒に行こうと支度を始めたときに、病気が悪化して行けなくなった。(銅像になった夫が)向こうに行けることがうれしい」と話した。現地では8月16日に除幕式が行われ、鎌田さんが出席する予定。
制作や輸送などの費用は約800万円。県内の有志で「サハリンに大鵬の銅像を建てる会」をつくり、寄付金を募って支援してきた。費用は不足しているといい、同会は募金を呼び掛けている。
納谷さんは1940年、日本領だったポロナイスク市で生まれ、太平洋戦争の激化に伴って北海道に引き揚げた。史上最多の優勝32回を記録し、昭和の大横綱と呼ばれた。引き揚げ後、本人がサハリンを訪れたことはなかったという。