韓国慶尚北道の古代遺跡に「岩刻画」が点在
祭祀が執り行われた場所、製作集団が部族国家の担い手に
朝鮮半島東南部の慶尚北道には、岩刻画と呼ばれる、岩面に絵や文様を彫った特殊な遺跡が点在している。その広がりは、古代加耶の領域とほぼ一致し、当地で古代部族国家が誕生する以前の時代の状況をうかがわせる遺跡として注目されている。
岩刻画はペトログリフとも呼ばれ、岩面や大きな岩壁上に物象や記号などの形を浮き彫りしたり、線で輪郭をあらわしたりしたものだ。世界各地にさまざまな形式があり、旧石器時代末期(約10000年から12000年前)から存在し、何らかの祭祀と関わるもので、文字の謎を探る上で貴重な手がかりとも考えられている。(市原幸彦)