苦労人の楽天・牧田、誕生日に殊勲打で飾る
32歳人生初のサヨナラ打、低迷するチームに活気を
敗色濃厚の試合をひっくり返したのは、意外な男の一振りだった。プロ14年目、この日32歳の誕生日を迎えた楽天の牧田が逆転サヨナラ三塁打。「サヨナラ打は初めて。まさか誕生日に打てるなんて」。声は上ずっていた。
八回まで打線はわずか1安打。しかし、3点を追う九回に代打後藤の適時三塁打でメッセンジャーをマウンドから引きずり下ろし、流れが変わった。代打ボウカーの犠飛で1点差。2死後も岡島が内野安打、ジョーンズが四球で一、二塁と、抑えの呉昇桓を攻めた。
牧田は「呉昇桓は速球が強い。右方向を狙った」。イメージ通りに2球目の150キロを捉え、右翼フェンス直撃の一打。右翼手が処理をもたつく間に、岡島に続いて一塁走者のジョーンズも巨体を揺らして生還。牧田はチームメートから手荒い祝福を受けた。
「最近はこういう試合がなかった。僕がその中心になれるなんて」。球団創設時から在籍しているが、故障が多くレギュラーに定着できなかった牧田。そんな苦労人のバットが、低迷するチームを活気づけた。