名古屋の栗本琢也さん、笑いで社会貢献を
道化師世界大会のグループ部門で金メダルを受賞
真っ赤な鼻、おどけたしぐさで見る人を楽しませる「クラウン」(道化師)。米シカゴで3月に行われた世界大会で、名古屋市の栗本琢也さん(34)がグループ部門で金メダルを受賞した。さまざまな仕事を経験した後「社会貢献できる仕事」と知り、この道を選んだ。
グループ部門には米国や香港から18組が参加。栗本さんは相方と2人で挑んだ。5分間の寸劇でトランプの柄を当てて遊ぶクラウンを演じ、表情の豊かさや手品の取り入れ方が高く評価された。
大学卒業後、インテリア専門学校に進学し家具職人を目指した。24歳の時に大道芸のイベントで見た、言葉を使わず観客を自分の世界に引き込むクラウンに魅せられた。
もともと「一生続けたいと思える仕事をしたい」と願っていた。大道芸など人を楽しませる仕事に憧れもあったが、収入の不安定さが気になった。その後、家具職人の夢を諦めざるを得なくなると、バイク便などで働いた。
28歳の時、テレビで名古屋市のクラウン育成・派遣会社の社長を見た。小児病棟に長期入院する子供たちに笑いを運ぶ「ホスピタルクラウン」を知り、「人を楽しませながら社会貢献もできる」と心を揺さぶられた。
社長にメールを出すと、「名古屋に来てクラウンの講座で勉強したらいいんじゃないか」と返事が。東京から引っ越し、メークや感情表現、ジャグリングなどのパフォーマンスを学ぶ同社のカリキュラムを受講した。身のこなしや動き方など、笑ってもらう技術を学び研究を重ねた。
アルバイトをしながら同社にクラウンとして登録し活動していたが、昨年夏にアルバイトを辞め同社の社員になった。クラウンを職業にすると決め、世界大会は実力試しに挑んだ大会だった。
話すことはあまり得意ではない。だが「賞に値する活動を」と責任の重さも感じている。病気の子供相手という難しさから踏み出せずにいたホスピタルクラウンにも、挑戦したいと思っている。