三菱重工とJAXA、だいち2号打ち上げ成功
H2A24号機に搭載、地震や火山噴火など防災に活用
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日午後0時5分、鹿児島県・種子島宇宙センターから陸域観測技術衛星「だいち2号」を搭載したH2Aロケット24号機を打ち上げた。だいち2号は約16分後に分離、地球周回軌道に投入され打ち上げは成功した。地震による地殻変動や火山噴火、台風・豪雨時の土砂崩れなどを観測し、防災に役立てる。
だいち2号は、2006年1月に打ち上げられ東日本大震災後の11年5月に寿命が尽きた1号の後継機。大型の1号はレーダーと地形を立体撮影できる光学カメラを備えていたが、中型の2号は夜間や悪天候でも観測可能なレーダーだけを高性能化して搭載し、小回りが利くようにした。
機体の姿勢を左右に傾けることで観測可能な範囲が3倍の2320キロに拡大。一方で、スポットライトを当てるように一部の地域だけを細かく観測し、1~3メートルの大きさの物体を識別できるため、災害による橋の落下や高速道路の損壊なども分かるようになった。
地球を南北に周回する高度は約630キロで、1号の約690キロより低く、日本付近の上空を毎日2回、午前0時ごろと正午ごろに飛行。災害時は最短で1時間前までに要請すれば、被災地を観測できる。1号は5時間前までに要請する必要があった。
だいち2号は水田の面積や海上の船舶航行状況の把握にも使える。海外ではブラジル・アマゾン熱帯雨林の違法伐採監視に利用される見込み。
H2A24号機には東北大や和歌山大、日本大、宇宙関連機器メーカー「エイ・イー・エス」(AES、東京都中央区)の超小型衛星計4個も搭載された。