福島県双葉町が帰還困難区域の役場を公開
混乱の跡そのまま、目前に中間貯蔵施設の建設候補地
東京電力福島第1原発事故で全域が避難指示区域となっている福島県双葉町は9日、放射線量が高く原則立ち入り禁止の帰還困難区域にある町役場を報道陣に公開した。時系列で事故発生以降の状況を書き留めた紙がボードに貼られ、倒れたままの棚や散乱する書類など当時の混乱の跡が手付かずで残されていた。
役場庁舎は原発から北西約3・5キロ。1階の時計は地震発生直後の午後2時49分を指したまま停止し、床に散らばった書類の中には、避難者が「全員無事。ひなんしています。本日は役場に泊まります」と、勤務先に安否を伝えるためファクスで送信したとみられる手書きの紙もあった。
2階にあるボードには、避難指示が出た震災翌朝まで、分刻みで「格納容器圧力異常上昇」「タービン建屋内で放射線上昇」などと事態が刻々と悪化する様子を手書きした模造紙が貼られていた。
役場敷地のすぐ前には、政府が除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設候補地とした田んぼが雑草に覆われて広がり、民家なども点在する。町によると、現在は職員が必要な書類を持ち出す以外に人の出入りはほとんどないという。