福島第1原発で地下水くみ上げ設備を公開


福島県など協議会が作業を実地調査

福島第1原発で地下水くみ上げ設備を公開

東京電力福島第1原発で、汚染される前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」に使用する井戸=9日午後(代表撮影)

 東京電力福島第1原発で汚染前の地下水を海に放出する「地下水バイパス」作業が始まった9日、福島県と周辺市町村などでつくる協議会が、地下水をくみ上げる井戸や配管などを実地調査し、様子が報道陣に公開された。東電は、早ければ5月の大型連休明けにも放出を始める見通し。

 敷地内にはくみ上げ用の井戸が計12カ所あり、くみ上げた水は、放射性物資濃度などを検査するため一時貯蔵タンクに送る。ポンプは24時間稼働させ、水位が一定の高さを下回ると自動的にくみ上げが止まり、水位が回復すると再び始まる仕組み。

 東電によると、9日は約5時間半で約27トンをくみ上げた。

 公開された井戸は、4号機原子炉建屋から約250メートル山側(西側)の高台にあり、コンクリートの土台の上にドラム缶のような地上部分が見えた。放射線を遮るため建屋側に土のうが積み上げられ、周囲の空間放射線量は毎時20マイクロシーベルト程度という。

 東電の担当者は、協議会のメンバーに「井戸は密閉され、水は外気に触れることなくタンクに送られる。検査後も専用配管で海に出す」と安全性を強調した。