ジャンプW杯、小林陵侑が3季ぶりに総合優勝


五輪金に満足せず試行錯誤、緊張感を保ち上位を常に確保

ジャンプW杯、小林陵侑が3季ぶりに総合優勝

個人総合優勝を果たし、トロフィーにキスする小林陵侑=27日、スロベニア・プラニツァ(AFP時事)

 北京五輪金メダリストという称号を得ても、小林陵は満足せず一戦一戦に向き合い続けた。その姿勢が2度目のW杯総合優勝という快挙につながった。

 五輪では個人ノーマルヒルで金メダル。団体戦まで終えると「ハイプレッシャーの期間が終わってほっとしている」と言った。今季最大の目標としていた4年に1度の舞台の後で、W杯に戻り、途切れてもおかしくない緊張感を保った。

 踏み切りのわずかなずれが失敗につながり、天候などの条件も一定ではないのがジャンプ競技。シーズンを通して総合トップを争ったガイガーを含めて他の上位選手はトップ10を逃したり、時には決勝2回目に進めなかったりした。その中でも小林陵は、飛距離と飛型点を両立させる本来の飛躍ができなくても上位を確保し続けた。

 3季前は、序盤のW杯初優勝から勢いのままに到達したような総合王座だった。ただ、同じことを続けていては勝てなくなるのは分かっていた。その後の2シーズンはウエートトレーニングを増やして体を大きくした。結果が出ないとみると、今度は筋力を少し落として以前のような細めの体形に近づけた。一方で、自分の部屋で使える治療機器を購入するなど「セルフケア」にも注力。一回りも二回りも成長し、再び頂点に立った。

 まだ25歳。遠い未来のことはあまり考えないタイプだ。目の前の一戦での「ビッグジャンプ」に集中するスタイルで、輝かしい実績を積み上げていくだろう。(時事)