岸田首相、力による現状変更「東アジアで許さぬ」


防衛大学校で卒業式、ウクライナ侵攻への危機感を訴える

岸田首相、力による現状変更「東アジアで許さぬ」

防衛大学校の卒業式で訓示する岸田文雄首相=27日午前、神奈川県横須賀市(代表撮影)

岸田首相、力による現状変更「東アジアで許さぬ」

防衛大学校の卒業式を終え、帽子を投げる卒業生=27日午前、神奈川県横須賀市(代表撮影)

 岸田文雄首相は27日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式で訓示し、ロシアによるウクライナ侵攻について「展開次第ではわが国も戦後最大の危機を迎える」と危機感を示した。その上で、中国を念頭に「今回のような力による一方的な現状変更を東アジアで決して許してはならない。国民の生命と財産を守り抜く政府の最も重要な責務の一端を担ってほしい」と呼び掛けた。

 首相は「わが国を含む国際社会の選択と行動が、今後の国際社会のすう勢を決定付ける」と指摘。「大きな時代の転換期を迎える中、国際社会が一致して毅然(きぜん)と対抗していかなければならない」と強調した。

 首相はまた、中国による東・南シナ海への進出や、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射にも言及しつつ、「わが国が直面する厳しい現実から目を背けることなく、新たな国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の3文書の検討を加速していく」と表明。米国とも「戦略を完全に整合させるべく緊密に議論を行っていく」と語った。

 留学生を除く本科の卒業生は479人。任官辞退者は昨年の28人から大幅に増え、72人に上った。終了後、首相は卒業生らとの車座対話も行った。