四足歩行ロボット「LS3」の運用試験を公開
ラバに似た自律型で荷物を輸送、米海兵隊の演習参加へ
米海兵隊は、南部バージニア州クアンティコの基地で、ラバに似た自律型の四足歩行ロボット「LS3」を時事通信に公開した。LS3は今年6月に始まる大規模な多国間軍事演習「環太平洋合同演習(リムパック)」に参加し、実戦を想定した環境の下で荷物輸送などの任務に就く。
モーターやエンジンのうなりと人工のひづめの音をリズミカルに響かせ、機械の巨体が開発担当者の背中を追う。LS3は、頭部のセンサーを回転させながら十数㍍の距離を置いて担当者の後に続き、森の中へ分け入っていく。
海兵隊が公開したのは、野戦医療システムや、運転手なしで自律走行する小型四輪駆動車の発する電磁波と干渉し合い、LS3の挙動に支障が出ないかどうかをチェックする試験。3日に基地内の野外訓練場で行われた。
試験を統括する「海兵隊戦闘研究所」のチャールズ・ベリー中佐(42)はLS3について、墜落した無人機の回収に当たったり、倉庫内で「自動フォークリフト」として使ったりできると説明。LS3は7月初旬にリムパックの開催地ハワイへ運ばれ、「できる限り現実に近いシナリオ」で海兵隊と行動を共にする。
ただ、LS3の性能はまだ十分ではない。ベリー中佐は、稼働音が大きく、隠密行動を取ることができない上、複雑な地形での歩行にも難があると指摘。「全く初期段階の技術だ」と語った。3日の試験でも、木の根に足を絡ませて転倒したLS3を、数人がかりで押し戻す場面があった。
海兵隊によれば、LS3計画はリムパック参加で終了となる公算が大きい。米軍はその後、より実用的な四足歩行ロボットの開発に着手するかどうかを検討する方針だ。(クアンティコ〈米バージニア州〉時事)