パンダが太る仕組みに腸内細菌、脂肪蓄積を促す


中国科学院動物研究所、タケノコを食べる春に細菌が増加

パンダが太る仕組みに腸内細菌、脂肪蓄積を促す

細いタケノコを食べるジャイアントパンダ。腸内細菌の酪酸菌の働きで効率良く脂肪を蓄積し、太ることが分かった(中国科学院動物研究所提供)

 ジャイアントパンダが春から初夏にタケノコを食べて太る仕組みには、腸内細菌の酪酸菌が重要な役割を果たしていると、中国科学院動物研究所などの研究チームが20日までに米科学誌セル・リポーツに発表した。パンダのふんに含まれる腸内細菌を無菌マウスに移植する実験を行った結果、タケノコを食べている時期に増える酪酸菌の働きにより、皮下脂肪の蓄積が進むことが分かった。

 タケノコはタケやササの葉より炭水化物やたんぱく質が多く、パンダが好んで食べる。炭水化物などから体内で脂肪を合成し、酪酸菌の助けを借りて効率良く蓄積しているとみられる。

 研究チームは中国陝西省西安市に近い秦嶺山脈に生息する野生のパンダについて、タケノコを食べている時期とそれ以外の時期にそれぞれ、ふんを採集。含まれる腸内細菌を調べたところ、タケノコの時期は酪酸菌が大幅に増えていた。

 各時期の腸内細菌を無菌マウスに移植して3週間比較したところ、餌の量は同じなのに、タケノコの時期の腸内細菌を移植したマウスは成長が早く、皮下脂肪や体重がより増えた。これは酪酸菌が生み出す酪酸により肝臓で「Per2」遺伝子の働きが高まり、リン脂質の合成量が増えた結果、脂肪を蓄える動きが進んだためと判明した。

 この酪酸菌「クロストリジウム・ブチリカム」は人間の腸内にも生息する。有用な菌株もあり、整腸剤として利用されている。