ウクライナ侵攻でノルウェーサーモンが高値に


豊洲市場関係者、ロシア産ウニなど価格高騰の懸念広がる

ウクライナ侵攻でノルウェーサーモンが高値に

値上がりが懸念されているロシア産ウニ=11日、東京都江東区の豊洲市場

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本の輸入水産物にも大きな影響が出ている。空輸が滞っているノルウェー産サーモンが値上がりしているほか、ロシア産のウニやマスのイクラ、カニなどは価格高騰の懸念も広がっている。

 ノルウェー産サーモンは、にぎりずしや刺し身用などとして、若者や女性を中心に好まれている。ウクライナ情勢の緊迫化で、欧州からの航空機がロシア上空を飛行できず、空輸が難しくなって輸入量が減少。東京・豊洲市場(江東区)への入荷も大幅に減り、「入荷がゼロの日も少なくない」と同市場の卸会社担当者は話す。

 品薄に加え、遠回りの飛行ルートで日本に運ぶため、輸送費も上昇。同市場の18日卸値は、ノルウェー産サーモン1匹が1キロ当たり2000~2200円と、空輸が順調だった2月に比べて約3割高となった。代替品のカナダ産なども値上がりし、同市場関係者は「生サーモンが手軽に食べられなくなる」と不安視する。

 ロシアから輸入されているウニやイクラ、カニなどの価格高騰も心配されている。ウニは北海道で昨年発生した赤潮被害などで国産が少なく、道内で加工される北方四島周辺のロシア産が、以前から高値で推移。イクラやカニも含め、「輸入が制限されれば値上げは避けられない」(同市場の卸会社)とみる向きも多い。

 同時に、侵攻によるイメージ悪化でロシア産の水産物を敬遠する動きも広がりつつある。豊洲市場でウニやイクラを仕入れるすし店などからは「他の外国産や価格が高い国産を求める声が増えている」(同市場の仲卸業者)という。