復興のシンボル「浜の駅松川浦」、不屈の再開
相馬で水産物を販売、店長の常世田さん「地域を元気に」
最大震度6強を観測した福島県沖の地震の影響で、水産物の販売など営業を休止していた福島県相馬市の「浜の駅松川浦」。店の内壁に亀裂が入り、地元漁港の水揚げがストップする中、20日に一部営業を再開した。
浜の駅店長の常世田隆さん(62)は「ここが開いていなかったら『相馬は駄目だ』と思われる。お客さんには不便をかけるかもしれないが、復興のシンボルとして開けなければ」と語る。
店は再開直後から客でにぎわい、県外ナンバーの車も訪れた。来店した小川綾美さん(37)は、月2回ほど福島市から足を延ばす。「ここが相馬の『入り口』という感じなので、開いていてうれしい」と再開を喜んだ。
浜の駅は2020年、東日本大震災の津波被害を受けた沿岸部にオープン。広々とした店内には地元漁港で水揚げされた魚介や野菜、加工食品などが並び、食堂は大勢でにぎわい、復興の象徴となった。
ところが、今回の地震で内壁に大きな亀裂が入り、断水が続く。地元漁港の設備が被害を受けて水揚げはストップし、近隣の水産加工場も被災した。地元産品の仕入れは見通しが立たず、営業休止に追い込まれた。
「『あれがないからできない』では駄目。仕方ないと思って、前に進まないといけない」と話す常世田さん。名物の魚介は冷凍を除き、他県産。食堂も閉じたままだが、4日ぶりの営業再開にこぎ着けた。「ここは弱い所を見せてはいけない。一日でも早く品ぞろえし、地域を元気にしたい」と意気込む。