EVの充電設備を公道に、国交省が検討へ
安全性などの課題を整理、占用基準緩和など制度改正へ
国土交通省は、電気自動車(EV)の充電設備を公道に設置しやすくする方策の検討に乗り出す。まずは設置事例を増やし、周辺交通に対する影響を調査。安全性など課題を整理した上で、道路の占用許可基準の緩和といった制度改正や設置の手引の作成に取り組む。充電設備の不足を解消し、EV普及を後押しする。
公道の駐車スペースの充電設備は、2020年度末時点で道の駅に877カ所、サービスエリア・パーキングエリアに383カ所ある。ただ公道そのものでは、21年6月に横浜市青葉区に設置された1カ所にとどまる。
同区の公道には今月末までの予定で実験的に設置されたが、毎月の利用件数は民間施設の充電設備を含めた全国平均と同程度の200件超に上っている。事故もなく、利用者や周辺住民に好評のため、4月以降も稼働を続ける予定だ。
交通以外の目的で道路を利用する場合、管理する国や自治体の占用許可が必要で、道路の敷地外に余地がないケースに限り許可する基準がある。
国交省は民間企業と連携し、街中を中心に、横浜市以外の公道にも充電設備を増やす方針。走行する自動車や自転車、歩行者への影響を調べ、安全性や利便性に支障が生じないか検証した上で許可基準の緩和などを検討する。設備の設置者が管理者に支払う占用料の在り方も整理する方向だ。
国交省は、駐車スペースが少ない都市部では公道が貴重な充電スポットになり、設備の充実はEV利用者の安心感につながるとみている。二酸化炭素(CO2)排出量を削減するため、EV普及に向けた道路環境の整備を進める考えだ。