22年春闘、自動車・電機大手で「満額」相次ぐ
コロナ禍から業績が回復、鉄鋼・造船重機ではベアが復活
2022年春闘は16日、大手企業の集中回答日を迎えた。先に労働組合の賃上げ要求に満額で答える方針を示していた自動車大手3社に続き、電機大手の日立製作所なども従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)要求に満額で回答。新型コロナウイルス禍からの業績回復を受け、主要企業では前年を上回る水準の回答が相次ぎ、鉄鋼・造船重機ではベアが復活した。
電機大手の春闘では、労組側がベア相当分として前年比1000円増の月3000円を統一要求し、主要12労組は昨年実績(1000~1200円)を上回る1500円以上のベアを獲得した。このうち、日立、NEC、東芝、村田製作所は満額回答だった。
電機大手のベアは9年連続だが、満額回答は異例。日立の中畑英信執行役専務はオンライン形式で記者会見し「成長には社員のモチベーション(動機付け)が必須だ。メッセージをきちんと出したい」と語った。一方、三菱電機と富士通は1500円、パナソニックは年金拠出額の引き上げを含めて1500円と、回答水準のばらつきが広がった。
自動車では、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの3社が9日に満額回答の方針を示し、集中回答日を待たずに事実上決着。16日にはマツダ、三菱自動車も満額で応じた。
鉄鋼・造船重機ではベアが復活した。2年分を一括で交渉する鉄鋼大手では、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所がいずれも22年度分として3000円、23年度分として2000円を回答。三菱重工業、IHIは1500円で決着した。
岸田文雄首相は3%超の賃上げに期待を示しているものの、ウクライナ危機の深刻化で経営の先行き不透明感は強まっている。日本航空は、労組側が最低2カ月分を求めた年間賞与について15日の回答を見送った。全日本空輸では、5%カットされている月例賃金の復元などをめぐって協議が続いている。