東日本大震災から11年、記憶と教訓を次世代に
各地で追悼式、「復興成し遂げる」「支援が心の支えに」
東日本大震災から11年となった11日、岩手、福島、宮城3県で追悼式が行われた。地震発生時刻の午後2時46分に黙とうがささげられ、参加者らは教訓や記憶をつなぐと誓った。政府主催の追悼式は震災10年を最後に終了。福島県主催の式典に岸田文雄首相が参列し、献花した。
福島市で営まれた追悼復興祈念式には内堀雅雄知事や遺族ら222人が出席。内堀知事は、東京電力福島第1原発の廃炉や汚染水対策など多くの課題を挙げ、「長い道のりだが、復興を成し遂げることを誓う」と述べた。若者代表として、同県郡山市の高校2年、須藤聖菜さん(17)は「私たちは震災の記憶がある最後の世代。記憶と希望を未来につなげていく」と力を込めた。
岸田首相は政府を代表してあいさつし、「震災による貴重な教訓を風化させることなく、防災対策に役立てていくことはわれわれの責務だ」と強調。「東北の復興に全力を尽くす」と表明した。
岩手県大槌町では、県と町が合同で式典を実施。妻と母を亡くした芳賀俊明さん(69)は遺族を代表し、「強い気持ちを持って2人の分まで生きていこうと思う」と述べ、「震災を風化させず次に伝えていくことが、私と同じ思いをする人を減らし、次の世代の未来を守ることにつながる」と訴えた。
津波で約3600人が犠牲となった宮城県石巻市の追悼式には、遺族や関係者らが参列。斎藤正美市長は式辞で「全国からの心温まる支援は、絶望の淵に突き落とされた私たちの大きな力となり、心の支えとなった」と謝意を示し、「今後は社会インフラの早期完成と被災者の心のケアなど、支援を充実させていきたい」と決意を語った。