アルペン女子座位の村岡桃佳が連続金メダル
感覚を信じ2冠、コンタクトレンズがずれても全集中
スタート直後に、村岡をアクシデントが襲った。「コンタクトレンズが両目ともずれた」。やがて左目の一枚は完全に外れた。視界がぼやけ、コースがはっきり見えない。裸眼での視力は0・1程度だという。
もはや感覚に頼るしかない。集中力を極限まで高めた。朝のコース下見の記憶をたどり、ぼんやり映る青色のコースラインで自分と旗門の位置を把握。丁寧なライン取りでスピードを維持し、平昌パラで金2個のアナレナ・フォルスター(ドイツ)をわずか0秒11差で抑えた。
上達のために上位選手の映像を見て学ぶことは、スポーツ選手にとって珍しい手法ではない。しかし、村岡のやり方は違う。「ほとんどしない。自分のラインを信じて滑っている」
もともと、練習で得た感触を基に思考をめぐらせ、しっかりと分析してからレースに臨むタイプ。だから想定外の事態にも、「自信を持って滑れた」。常にイメージトレーニングを繰り返して研ぎ澄ませた感覚が、思いもよらぬ苦境で手助けとなった。
最初の2種目で金メダルを二つ。1個だった前回の平昌を早くも超えた。しかも、得意の技術系がまだ残っている。「ハプニングがあってベストを尽くし切れなかったので、悔いが残る。まだまだいけたな、という気持ち」。飽くなき向上心も強さを支えている。(時事)