侵攻から1週間、死者が急増、泥沼化の懸念
交渉再開も歩み寄り困難、ウクライナ難民は100万人超
ロシア軍のウクライナ本格侵攻開始から1週間がたち、死者数の増加が顕著になっている。ウクライナ非常事態庁は2日、「民間人2000人以上が死亡した」と明らかにする一方、ロシア国防省はロシア側の死者数について498人と発表した。3日には双方の代表団による停戦交渉がベラルーシ西部で再開されたが、歩み寄りは困難で、戦況の泥沼化への懸念が一段と高まっている。
ロシアとウクライナの停戦交渉は2月28日に最初の協議が行われ、3日の交渉は2回目となる。ウクライナ側はこの中で、即時停戦に加えロシアの攻撃にさらされる都市から市民を脱出させるための「人道回廊」設置を求めていく方針だ。
ロシアのプーチン大統領は3日、交渉開始に先立ちフランスのマクロン大統領と電話会談し、いかなる場合でもウクライナでの軍事作戦の目的は遂行されると表明した。また、停戦交渉を遅らせて時間を稼ごうとする試みは、ウクライナにさらなる要求を突き付けることになると警告していた。
2月24日の侵攻開始以降、隣国ポーランドなど国外に逃れたウクライナ難民は100万人を超えた。グランディ国連難民高等弁務官はツイッターで、ウクライナ国内にはさらに多くの避難民がいると指摘し、「命を救う人道支援のため、武器を置く時だ」と訴えた。
ウクライナ南部ヘルソン州の知事は3日、ロシア軍がヘルソンの州庁舎を「完全に占拠した」と表明した。ロシア軍は至る所に展開しているといい、侵攻による初の主要都市陥落となる。市内では混乱が広がり、商店での略奪行為が横行しているとされる。
北東部ハリコフも連日の激しい攻撃で陥落の危機に直面し、ロイター通信によれば、2日から3日にかけて民間人34人が死亡した。ロシア国防省は3日、ハリコフ近郊の町バラクレヤを「解放した」と主張した。
首都キエフ一帯では、ロシア軍がテレビ塔や発電所などインフラ施設への砲爆撃を繰り返している。ロシア国防省は3日、キエフにある放送施設を攻撃し、破壊したと発表した。(モスクワ、イスタンブール時事)