国際競技会を開催、サイバー防衛強化を狙う
陸自が主催、米豪など6ヵ国参加、交流通じ技術向上へ
日々巧妙化するサイバー攻撃に対応するため、陸上自衛隊は1日、米国やオーストラリアなど6カ国の軍のサイバー要員を招き、対処能力を競う国際競技会を開いた。陸自が具体的な攻撃に対処する演習形式の競技会を行うのは初めて。多国間開催も初で、各国との交流を通じた技術向上を狙う。
訓練は防衛機関に乗っ取りや情報漏えいを狙ったサイバー攻撃があったとの想定で実施。実際に主催者側が競技会用のサーバーに攻撃を仕掛け、各チームは攻撃の探知や被害把握、機能復旧といった対処の手順やアイデアを競う。海外からは他にフランス、ベトナムなどが、自衛隊からは陸、海、空各自衛隊や防衛大から10チームが参加した。
開会式はオンラインで行われ、陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長の足立吉樹陸将補は各国連携の重要性を強調した。取材に対し、「(軍事力と非軍事力を組み合わせた)ハイブリッド戦争と言われる現代戦でサイバーは使いやすい攻撃手段だ。競技会を機に多国間協力を発展させたい」と話した。
ロシアのウクライナ侵攻でも、政府機関やインフラにサイバー攻撃を行ったとされ、部隊運用の生命線となる情報ネットワーク防衛の重要性は増している。防衛省に対しても実害はないものの、不正プログラムの送信やデータ攻撃はよくあるという。同省は今年度末に540人規模のサイバー防衛隊を設けるなど、体制拡充を急いでいる。