ロシア軍、第2の都市ハリコフを包囲攻撃


首都キエフは緊迫、停戦交渉に暗雲、被弾で80人が死亡

ロシア軍、第2の都市ハリコフを包囲攻撃

2月28日、キエフの小児病院の地下室に避難した子供たち(AFP時事)

 ロシア軍は1日、ウクライナ都市部への攻撃を一段と強化した。北東部の第2の都市ハリコフに対しては、包囲部隊が市街地に向けて集中的に砲撃を加える無差別性の高い攻撃を採用しているとみられる。今後、首都キエフでも同様の作戦が実施される恐れがあり、民間人を含む犠牲者が一気に拡大しかねない状況だ。

 ロシアがウクライナへの本格侵攻を開始してから6日たち、2月28日には停戦交渉も行われた。しかし、ロシアのショイグ国防相は1日、ロシア軍は目的を達成するまでウクライナでの軍事作戦を継続すると表明。次の交渉が2日に予定されているという情報もあるが、先行きには暗雲が立ち込めている。

 ハリコフでは28日以降、ロケット弾を使った集中砲撃で住宅地などが被弾。被害は中心部にも及び、当局によると、少なくとも10人が死亡し、35人が負傷した。激しい攻撃の中で被害を正確に把握できない状況で、死傷者はさらに多いとみられる。地元当局者は「ハリコフで起きているのは戦争犯罪で、ジェノサイド(集団虐殺)だ」と訴えている。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ハリコフへの攻撃で「ロシアはテロ国家と化した。決して忘れず、決して許さない」と述べた。

 また、北東部スムイの当局者は1日、軍事施設が砲撃を受け、ウクライナ兵士70人以上が死亡したと明らかにした。

 交戦が続くキエフ一帯でも緊迫の度合いが増している。キエフ北方では約64キロに及ぶロシア軍の車列の存在が伝えられている。ゼレンスキー氏は「キエフが敵の主要な標的だ」と強調。ロシア軍は首都に電力を供給する発電所を狙っていると警戒を呼び掛けた。

 一方、ロシア国防省は1日、黒海につながるアゾフ海沿岸で、ロシア軍とウクライナ東部の親ロシア派が合流したと発表。ウクライナ軍は既にアゾフ海に入れないと主張した。

 ロシアとウクライナの代表団は28日、侵攻開始後初の停戦交渉を行い、交渉継続で合意。双方は協議内容を本国に持ち帰り、再度交渉に臨む方針だが、日程は決まっていない。

 ロシアのプーチン大統領は28日、フランスのマクロン大統領との電話会談で、即時停戦を求めるマクロン氏に対し、ウクライナの「非武装化」や「中立化」、クリミア半島におけるロシアの主権承認が問題解決の条件と主張。ウクライナ側はロシア軍の全土からの即時撤退を求めており、主張の隔たりは大きい。(モスクワ、イスタンブール時事)