棒型やデザート風…、新機軸で豆腐の需要開拓
市場縮小が続く豆腐業界、魅力をPR、健康志向が追い風に
「畑の肉」と呼ばれる大豆製品の代表格でありながらも市場縮小が続く豆腐業界で、メーカーが新たな需要を開拓しようと知恵を絞っている。片手で食べやすいバー型やデザート風など、従来のイメージを打ち破る商品が登場。近年高まる健康志向を追い風に、豆腐の魅力をアピールする。
豆腐の購入者は中高年が多い上に、用途もみそ汁などの「定番」に集中しており、豆腐が食卓に登場する場面も減りつつある。
こうした状況から抜け出そうと、豆腐メーカーのアサヒコ(さいたま市)はコンビニエンスストア「セブン-イレブン」で2020年11月、棒状に固めた「たんぱく質10gの豆腐バー」を発売。30~40代男性の支持を得て、今年1月に生産能力を従来比約2倍に引き上げた。
アサヒコの池田未央氏は「海外ではさまざまな食べ方で豆腐が楽しまれており、日本でも開拓の余地はある」と説明。同社は豆腐を原料とした「豆腐のお肉 肉そぼろ」や豆乳で作った「豆腐のおやつ プリン」なども展開する。
アニメ「機動戦士ガンダム」に登場する架空の人型兵器を模した「ザクとうふ」で話題になった相模屋食料(前橋市)も、フレーク状やオイル漬けなどチーズのように楽しめる豆腐を展開。
21年9月発売の豆腐を原料とした「肉肉しいがんも~INNOCENT MEAT~」は、がんもどきの製法に基づいており、そのまま焼いたりソースをかけたりとアレンジが楽しめる。
厚生労働省の統計によると、かつて5万超あった豆腐製造業の施設数は、20年度は約5300にまで減少。市場縮小に加え、後継者不足で廃業を決断する業者も多い。事業再建を通じた自社の成長につなげようと、相模屋食料は屋号を維持した買収にも取り組んでいる。