スノーボードの冨田せな、迷いない滑りで銅
大けが乗り越えて念願のメダル、「頑張ってきてよかった」
冨田せなが、さまざまな困難を乗り越え、念願だった五輪のメダルを手にした。「結果がついてくればいいと思っていたけど。まだ実感が湧かない」。うれしさと同時に驚きも隠せなかった。
1回目から勝負技のフロントサイド1080(横3回転)を構成に入れて成功させ86・00点。滑りに全く迷いがなく、2回目ではさらに攻めて88・25点。1月に賞金大会のXゲームズを初制覇した勢いで、五輪でも結果を出した。
8位に入賞した平昌五輪からの4年間は、決して平たんな道ではなかった。19年に今回と同じ会場でのワールドカップ(W杯)で頭を強打。脳挫傷の大けがだった。ほかの選手が練習して上達するのを見ながら、不安だけが大きくなっていった。競技をやめることも考えたという。
しかし、スノーボードが好きという気持ちは変わらなかった。けがから3カ月後、医師から自由に動いていいと許可された。その日は午前中に病院で診察を受けると、午後には滑りに出掛けた。雪上に戻ってもけがは多かったが、体幹を鍛えるなど4年前と比べてトレーニング量を増やし、世界と勝負できるまでに成長した。
大けがを乗り越え、会場に対する恐怖心を克服して立った表彰台。「大変なこともあったけど、こうやって頑張ってきてよかった」。4年間の思いがこもっていた。(時事)