フィギュアの宇野昌磨、素直に喜べた銅
どん底からはい上がった4年間、さらなる高みへの出発点に
演技を終えてリンクから上がる際、宇野はペロリと舌を出した。満足いく演技ではなく、メダルの輝きは前回より鈍い。それでも「この順位はこの4年間の成果。素直にうれしい」と言えた。
クラシックの名曲「ボレロ」に乗せたフリー。4回転ジャンプを4種類5本組み込んだ高難度のプログラムで、「完璧にできる確率は相当低い」と覚悟した通りになった。前半はサルコーがわずかに回転不足となり、得意のフリップは転倒。後半はトーループで着氷が乱れたものの、SP3位の貯金で2大会連続となるメダルを手にした。
平昌五輪銀からの4年間は、つらい時間の方が長かったかもしれない。長く師事したコーチから離れ、ジャンプで何度も転倒した2019年の国際大会では「キス・アンド・クライ」で独り、涙した。あの頃は「本当にどん底にいた」という。
そこからスイスに拠点を移し、新コーチのランビエル氏から指導を受けながら再びはい上がってみせた。「いろんなことがあって五輪で3位になったのは感慨深い」
余韻に浸るつもりはない。「帰って一刻も早く練習したい。僕はもっと成長できると思っているので」と最近よく口にするフレーズを大舞台の後でも繰り返した。北京の地は、さらなる高みを目指す出発点になった。(時事)
宇野昌磨 4年間いろいろあった。その中で五輪に出られて、3位という成績を残せたことはうれしい。今できることに満足せず、新たな挑戦もしていきたい。(時事)