スキージャンプで小林陵侑、歓喜の飛翔で金
日本金メダル第1号、難しいジャンプ台も問題にせず
上位の選手もなかなか飛距離が伸びない1回目。最後から2番目に飛んだ小林陵は、着地寸前でふわりともうひと伸びするような独特のジャンプで104・5メートルをマークした。飛型点も抜群の美しいフライトに、両拳を握って喜んだ。
2位とは距離にして3メートル強の差。夢見てきた金メダルが目の前にちらつく2回目も、重圧を感じさせない飛躍だった。優勝が決まると、兄潤志郎らチームメートと抱き合って歓喜。大舞台につきものの選手を狂わせる「魔物」の存在を感じることもなく結果を出し、「僕が魔物だったかもしれない」と笑った。
五輪のために造られた張家口のジャンプ台。比較的緩やかな助走路で高い飛行曲線を取りにくい形状のため、大きな浮力を受けて気持ち良く飛ぶことが難しい。各選手が適応するのに苦しみ、小林陵も練習後には「得意ではない」と言っていた。だが、現地入りしてからの練習や予選の計7本で調整はできていた。
適応力こそ、気象条件にも左右されるジャンプ競技で勝ち続けるのに必要な能力。出場した50人の中でただ一人、本番直前の試技を飛ばなかったところに自信が表れていた。「いいイメージがあったし、疲れるからいいかなって」
今大会の日本選手団で金メダル第1号。1972年の札幌五輪70メートル級で笠谷幸生ら「日の丸飛行隊」が表彰台を独占した日からちょうど50年の節目だった。新時代の日本のエースは、今後も数々の偉業に挑んでいくだろう。
(時事)