小児ワクチン、自治体が体制準備を急ぐ
来月にも開始へ、担当者ら「大人用と間違い許されぬ」
新型コロナウイルスワクチンの5~11歳向け接種が3月にも始まるのを前に、自治体は体制整備を急いでいる。医療機関での個別接種に加え集団接種を計画する地域もあるが、小児用ワクチンは同じ米ファイザー製でも大人用と別製品のため、担当者らは「間違いは許されない」と神経をとがらせる。
厚生労働省は3月開始を前提に、小児ワクチンの供給スケジュールを自治体に提示。5~11歳用は12歳以上用と接種量や保存期間、解凍時間なども異なり、キャップもオレンジ色にして大人用(紫)と区別している。
福島市は周辺5市町村と連携し、市内の体育館で集団接種を行う。対象者は約1万9500人。各自治体で個別接種も行うが、予診をする小児科医をそれぞれ十分に確保するのは難しいと判断し、合同実施を決めた。
体育館では福島市内の大人向け接種も行っており、混乱しないよう子供と実施日を分ける。「大人用ファイザー、モデルナと子ども用ファイザーの3種類。間違いがあってはいけない」(市担当者)。
約3万人の対象者がいる東京都江東区。約60カ所の小児科などで個別接種を行うほか、区内4カ所に土日専用の集団接種会場を設ける。「絶対に間違えないよう(大人用と)会場を分けた」(担当者)。しかし、国からの小児用ワクチン供給量が2割程度と想定を大幅に下回り、担当者は「週4000回打てる体制を確保したのに、実際はそこまで打てないだろう」と残念がる。
対象者が約8万7000人いる神戸市は、小児科での個別接種を柱とし、地元医師会と医療機関にアンケート調査をしている最中だ。さいたま市も347の医療機関に、協力に向けた意思確認をしている。個別接種を軸としつつ、回答結果によっては集団接種の可能性も探る。
子供の感染が広がる中、接種のメリットや副反応などきめ細かな情報が求められる。東京23区の区長会長である山崎孝明江東区長は「親として不安に思うのは自然」としつつ、接種しないことで感染リスクにさらされる危険性も指摘。「厚労相や首相がしっかりしたメッセージを出してほしい。一つの区では(子供と保護者に)伝わらない」と要望した。