羽生結弦、意地の逆転で3冠の偉業


五輪王者のプライドを鼓舞、世界フィギュアで初優勝

羽生結弦、意地の逆転で3冠の偉業

表彰式に臨む優勝の羽生結弦(中央)。左は2位の町田樹、右は3位のフェルナンデス=28日、さいたまスーパーアリーナ

 演技を終えると、両膝を氷につき、頭を垂れた。力を最後の一滴まで振り絞って踊り続けた。「意地と気合でした」。五輪王者のプライドが、羽生を鼓舞した 。

 負けず嫌いの魂に、火をともして氷に立った。SPは4回転ジャンプを転倒して3位。得点は90点を超えたが、それでも不本意だった。金メダリストにかかる重圧、厳しさを実感し、それを今度は力に変えた 。

 それでなくても、フリーは五輪で2度ジャンプをミスし、悔しさが残ったプログラム。冒頭、今季主要大会では一度も決めていなかった4回転サルコーを着氷。続けて跳んだ4回転トーループは高さ、流れとも万全で、流れを引き寄せた 。

 シーズン最終戦。疲労は極限に達していたが、後半にも難度の高い連続ジャンプを跳んだ。気持ちで体を突き動かし、愛着のある「ロミオとジュリエット」を演じ切り、SP首位の町田を小差でかわした 。

 五輪金メダリストが、直後の世界選手権でも勝つのは2002年のヤグディン以来。シーズン「3冠」の偉業もそのロシアの名選手以来だ。羽生が7歳のとき、とりこになったソルトレークシティー五輪の王者。「憧れの人にちょっとでも近づけたのかな」と喜んだ 。

 頂点を極めた19歳。「また練習して、SP、フリーともいい演技ができるようにしたい」。自身が思い描く理想に向け、高い志を見せた。