潮流発電、環境省がコスト減へ本格実証を開始
瀬戸内海や九州に適地、気象に左右されず発電量が安定
環境省は2022年度、潮の満ち引きを利用する潮流発電の本格的な実証事業を始める。技術的に安定して発電できることを既に確認。今後は25年度までの4年間で、コスト削減に向け検討を進める。22年度予算案に経費として6億5000万円を計上した。
潮流発電は、潮の満ち引きによる海水の流れで、海底に設置した発電機の羽根を回す。気象に左右されやすい太陽光や風力と比べ、安定しているのがメリットだ。日本では瀬戸内海や九州地方を中心に適地があり、潜在的に大きい発電量が存在すると見込まれている。
環境省は、19年度から長崎県五島市沖で出力500㌔㍗の発電機を使った実証を行い、気象状況によらず発電できることを確認した。22年度からは投入する発電機の規模を拡大する予定で、国内で実証に取り組む民間企業を募集している。
潮流発電は1㌔㍗時で100円超の発電費用が掛かり、約30円の洋上風力やバイオマスより高い。普及に向けてどれだけ抑えられるかが課題だ。環境省は22年度からの実証で、出力1000㌔㍗以上の発電機を使うことなどを応募条件とした。1500㌔㍗や2000㌔㍗など、より大きい方が発電コスト削減につながり、望ましいという。
環境省は、発電機を複数台設置して「ファーム」化することによるコスト削減の効果も探る。担当者は潮流発電について「西日本の海峡や離島を中心に適地がある。地域の特性を生かして活用したい」と話している。