サウジアラビアとタイ、関係正常化を合意
1989年の「宝石盗難」で悪化、両国首脳が共同声明発表
サウジアラビアの事実上の最高実力者ムハンマド皇太子は25日、首都リヤドでタイのプラユット首相と会談した。サウジの王子の宮殿で1989年、タイ人労働者が2000万ドル(約22億8000万円)超の価値があるといわれる宝石類を盗んだ事件で両国関係が悪化して以降、タイ首相のサウジ訪問は初めて。双方は会談後の共同声明で、関係正常化に合意したことを明らかにした。
事件では、世界的に希少な50カラットのブルーダイヤモンドを含む宝石多数が盗まれた。タイ当局は後に、一部宝石類の返却に応じたが、サウジ側は「ほとんどが偽物」と主張。今もブルーダイヤを含む大半の行方が分かっていない。
90年にはタイで事件を調べていたサウジ人実業家が行方不明になったほか、サウジ外交官3人が殺害された。反発したサウジは臨時代理大使級に外交関係を格下げし、タイ人出稼ぎ労働者へのビザの発給や更新を停止するなど、双方の関係は冷え込んでいた。
共同声明によると、両国は近く大使を相互に任命するほか、関係強化に向けた協議機関の設置で一致した。タイ政府によると、サウジがタイ人を含む熟練労働者800万人を受け入れる方針を表明。サウジの国営航空は5月からタイへの直行便を就航すると発表した。(カイロ時事)