米国、プーチン露大統領への制裁を検討


ウクライナ侵攻で警告、米高官「最も厳しい措置から」

米国、プーチン露大統領への制裁を検討

ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派武装勢力支配地域近くをパトロールする政府軍兵士=25日(EPA時事)


 
 バイデン米大統領は25日、ロシアがウクライナに侵攻した場合、プーチン大統領に制裁を科すか記者団に問われ、「そうなるだろう」と述べ、プーチン氏個人への制裁を検討する考えを示した。その上で「第2次大戦以降、最大の侵攻になる。重大な影響を世界中にもたらす」と警告した。

 また、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など欧州への米軍増派に関連し、バイデン氏は近く実施する考えを示し、加盟国の防衛義務を守る決意を強調。一方、「米軍とNATOの戦力をウクライナに配備するつもりはない」と述べ、ウクライナへの米軍派遣を改めて否定した。

 米政府は、2014年のクリミア半島併合の際の対露制裁を大幅に上回る規模の制裁の準備を進めている。米高官は25日、ロシアが侵攻に踏み切った場合、同盟・友好国と協調し、広範囲にわたる対露輸出規制で対抗すると警告。ロシアがエネルギー供給を制限する事態に備え、各国政府や企業と協議を進め、欧州向けエネルギーの安定供給策を検討していることも明らかにした。

 バイデン氏は先に、ロシア金融機関とのドル取引停止に言及しており、対露輸出規制は金融制裁と共に制裁パッケージの柱の一つとなりそうだ。

 米高官は、侵攻に対して「最も厳しい措置から始める」と明言。輸出規制では人工知能や量子コンピューター、防衛、航空宇宙など「プーチン氏が重視する」(同高官)産業に関連した先端技術や部品について米国との取引を禁止すると表明した。

 米高官はまた、ロシアが欧州向けエネルギーを制限することを想定し、「北アフリカや中東、アジアなどでロシア産ではない天然ガスの追加供給量を精査している」と説明。米政府が検討を進めている欧州向け安定供給策により、「天然ガスや原油の供給を武器にすれば、ロシア経済への影響も免れない」と述べ、ロシア側をけん制した。(ワシントン時事)