次世代宇宙望遠鏡、150万キロ先の観測地点到達


NASAが発表、今夏初観測「宇宙の謎解明に近づく」

次世代宇宙望遠鏡、150万キロ先の観測地点到達

「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」のイメージ図=2009年11月(米航空宇宙局=NASA=提供)(AFP時事)

 米航空宇宙局(NASA)は24日、ハッブル宇宙望遠鏡の後継となる「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」が地球から約150万キロ離れた観測地点に到達したと発表した。今後、機器の点検や調整などの準備を進め、今年夏ごろの初観測を目指す。

 NASAのネルソン長官は「宇宙の謎解明に向けて一歩近づいた。今夏の新たな宇宙の光景が待ち切れない」と述べ、JWSTが捉える宇宙の姿に期待を膨らませた。

 JWSTは米東部時間24日午後2時(日本時間25日午前4時)ごろ、エンジンを約5分間燃焼して軌道修正を行い、目的地へと到達。地球周回軌道を飛行していたハッブルと異なり、JWSTは太陽周回軌道で赤外線を探知し、目に見えない光を観測することで、宇宙誕生後にできた最初の銀河や太陽系以外に生命の存在を可能にする環境があるかなどを調べる。

 JWSTは昨年12月25日に打ち上げられた。今月4日にはテニスコートほどの大きさで太陽の光と熱を遮る遮光板の展開が終わり、8日には18枚の鏡で構成された直径6・5メートルの主鏡が完成。いずれも打ち上げ時は折り畳まれてロケットに搭載されていた。

 NASAによると、観測地点付近での遮光板の太陽側の温度は50度を超え、反対側はマイナス210度にまで低下する。赤外線観測では望遠鏡を熱から守る必要があり、観測チームは遮光板を使って温度を適切に管理しながら、ハッブルでは解明できなかった135億年前にさかのぼる初期の宇宙の様子の解明に挑む。(ワシントン時事)