3横綱時代が幕開け、鶴竜は羽ばたけるか


71人目の横綱が懸命の努力を誓う、日本人力士奮起を

3横綱時代が幕開け、鶴竜は羽ばたけるか

横綱に昇進し、ガッツポーズする鶴竜(中央上)=26日午前、大阪市

3横綱時代が幕開け、鶴竜は羽ばたけるか

伝達式で口上を述べる鶴竜(左列中央)=26日午前、大阪市

 大相撲の大関鶴竜が26日、71人目の横綱になった。2001年初場所以来の3横綱時代が到来。これから豪華番付にふさわしい優勝争いが展開されるのか。新横綱に重責がかかる 。

 鶴竜は春場所で初優勝。平成以降では、2場所連続優勝を経ずに昇進した初めてのケースとなった。大関時代の勝率も最も低く、1場所平均は10勝に届かない。しかし、ワンチャンスで綱とりを成功させた勝負強さは今後の糧になる 。

 抜群の相撲勘と反応の速さが持ち味だ。右からはたいて反時計回りに回り込んで活路を見いだすことも多いが、強烈な左おっつけがある稀勢の里に対しては逃げ場を失い、過去11勝24敗と負け越している。右差しがうまく、左から絞り込むように攻める栃煌山にも17勝15敗とほぼ互角だ 。

 この2場所は連勝したが、白鵬にはなお4勝30敗と一方的な成績。番付の頂点に並んだ3人のモンゴル勢の中で、白鵬が突出した強さを発揮する構図を崩すのは簡単ではない 。

 日本人横綱が生まれない状況を嘆くファンも多いが、音羽山親方(元大関貴ノ浪)は「ハワイ出身の曙、武蔵丸、小錦(元大関)の3横綱だったらワクワクする。国籍、出身というより、どれだけ個性豊かな力士がいるかだ」と指摘する 。

 浅香山親方(元大関魁皇)が「強い上位を倒すからこそ盛り上がる。ハワイ勢と国産力士、そういう対立構造もあったから、若貴時代は盛り上がった」と話すように、鶴竜に先を越された稀勢の里の巻き返しにも注目が集まる。春場所では琴欧洲が引退し、鶴竜の昇進で大関は2人だけになった。豪栄道、栃煌山、遠藤ら上を目指す力士にとっては好機到来だ 。

 始まった3横綱時代。「自分なりに(横綱像を)つくり上げていきたい」と決意を語った鶴竜には、角界の勢力図を塗り替える先駆けとしての責任もある。