「2030年」目指す札幌市、北京を招致の後押しに
五輪まで1カ月、日本選手団活躍で住民の機運醸成に期待
2030年の冬季五輪・パラリンピック招致を掲げる札幌市は、2月開幕の北京大会を参考にしようと計画していたが、新型コロナウイルスの影響で現地視察は大幅に制限される見通しだ。それでも市は、日本選手団の活躍に期待を寄せており、大会に向けた機運を醸成して招致活動の後押しにしたいと考えている。
市は1972年以来2度目の冬季大会を目指す。2018年の平昌大会には職員約20人を派遣し、競技施設の仮設整備やメディア拠点などを視察。秋元克広市長も現地で国際オリンピック委員会(IOC)幹部らと意見交換した。
北京大会はコロナ対策の隔離などで行動が制限されるため、秋元市長の参加は断念。職員派遣も平昌の半分以下になりそうだ。視察内容も不透明だが、市担当者は「IOCとの協議は加速している。学べるところを学んできたい」。
昨夏の東京大会は日本勢の活躍に国内が沸いた一方、開催経費の膨張で批判も浴びた。市幹部は「五輪はお金がかかるイメージが付き、市民の目は厳しくなった」と話す。
それでも招致にこだわるのは、72年大会のレガシー(遺産)が今も市に残るからだ。大会を機に地下鉄や高速道路などが整備され、地域の発展につながった。
市が昨年11月に示した概要案では、前回大会で使った競技会場を改修するなどして活用。担当者は「今まで市民に愛され、これからも使ってもらえる施設だ」と胸を張る。帯広市や長野市の既存施設も使う方針で、大会のためだけの大規模会場は新設しない。
「札幌らしい持続可能な五輪・パラリンピック」を大会ビジョンに掲げ、少子高齢化やバリアフリー化などの課題解決につなげる狙いだ。秋元市長も、1月下旬から始まる市民との意見交換で「招致への思いを伝え、意見を聞いていきたい」と意欲を語る。
市は北京大会終了後の3月、全道を対象に招致の是非を問う意向調査を行う。開催地の決定時期は未定だが、IOCは住民の意向を重視している。市幹部は「北京大会での日本選手団の活躍で機運を高め、招致の後押しにしたい」と期待を込める。