黒田監督の原点に小嶺さん、国見のマイクロバスに衝撃

高校サッカー。優勝を果たし喜ぶ青森山田の選手ら＝１０日、東京・国立競技場

後半、ゴールを決める青森山田の松木（右）＝１０日、東京・国立競技場

大津との決勝で指示を出す青森山田の黒田監督＝１０日、東京・国立競技場

　ここ６大会で決勝に５度進み、優勝３度。一時代を築きつつある青森山田の黒田剛監督(５１)の指導者としての原点にも、高校サッカーの名将の存在があった。長崎の島原商、国見を全国有数の強豪に導き、大会中の７日に死去した小嶺忠敏さん（長崎総合科学大付監督）だ。

　黒田監督が北海道・登別大谷（現大谷室蘭）で選手だったとき、国見が小嶺さんの運転するマイクロバスで練習試合にやって来たことに衝撃を受けた。「情熱のある指導者に教わる生徒は幸せだなと思った。先生のような指導者になりたい、というのがスタート」

　コーチとして青森山田に入ると同時に大型免許を取得。監督になると小嶺さんと同じようにバスを運転して遠征に回った。指導法や目指すサッカーなど学ぶことが多かった。「負けん気の中からこの組織をつくれた。ベースには小嶺先生の姿があった」。冬は雪で覆われる青森のグラウンドで徹底して体を鍛えさせ、ハンディとも言える環境を強みに変えた。

　「素晴らしい選手たちに恵まれて幸せな気分」。４大会連続決勝進出は、６度全国制覇を果たした国見以来の快挙だった。高校サッカーをけん引していくことが、小嶺さんへの恩返しになると信じている。