高知の市民グループ、最後のピアノを被災地へ


思い届け、SSRのしまむらかずおさんが呼び掛け

高知の市民グループ、最後のピアノを被災地へ

被災地へのピアノ寄贈を支援するコンサートで歌う、シンガー・ソングライターのしまむらかずおさん=1日、高知市

 東日本大震災の被災地にピアノを寄贈してきた高知県の市民グループの活動が、区切りを迎える。宮城や岩手、福島の小中学校などに27台を届け、ピアノを架け橋に福島の子供たちと曲も生まれた。最終便となるピアノ6台は4月4日、高知市から東北へ旅立つ。

 活動は2011年7月、同市ので始まった。しまむらさんは震災直後、被災地に行って歌うことも考えたが「自己満足なのではと悩み、自分の無力さがつらかった」。津波などでピアノを失った学校が多いと知り、「1人の力は小さくても、思いが集まれば大きな力になる」と「一滴の会」をつくって活動を始めた。

 ピアノは家庭で使わなくなったものを譲り受けた。1台約12万円かかるという調律代や輸送費はチャリティーコンサートの収益と寄付金約600万円で賄った。

 ピアノをきっかけに交流も生まれた。原発事故の影響で福島県大熊町から同県会津若松市へ避難し、同じ仮校舎で学ぶ熊町・大野両小学校では、当時の6年生が思いを歌詞につづり、しまむらさんが作曲。12年3月の卒業式で披露された。

 震災から3年が過ぎ、被災地でピアノが用意できるようになったこともあり、寄贈活動に終止符が打たれる。だが、しまむらさんは「卒業式で校歌が歌えるようにと始めたが、今も故郷に帰れない子供たちがいる」と涙ぐむ。「同じ太平洋を臨む高知で、震災を忘れないと歌い続けたい」