軽EVが本格化、日産・三菱自が今年先陣
ダイハツも投入へ、航続距離や低価格が高いハードルに
大手自動車メーカーが軽自動車の電動化を急いでいる。日産自動車と三菱自動車が共同開発する軽の電気自動車(EV)を2022年度初めに発売して先陣を切るほか、ダイハツ工業なども投入を計画。脱炭素化に向け、国内新車販売の4割を占める軽の電動化は避けて通れない。ただ、充電1回で走れる航続距離の確保や低価格の維持が高いハードルとなる。
日産と三菱自の新型軽EVは共同出資会社「NMKV」(東京)が開発。航続距離は170キロ前後と通常のEVに比べると短いが、運転支援など先進技術を搭載。補助金などを活用した実質負担額は約200万円とする方針だ。
軽販売で首位に立つダイハツは昨年12月、25年までに同社初の軽EVを投入し、実質負担額を100万円台とする方針を打ち出した。さらに、30年までに国内で販売する全ての新車をハイブリッド車(HV)を含む電動車にすると表明。奥平総一郎社長は「コスト低減の努力をして、EVの比率を拡大していきたい」と話す。
40年にエンジン車を全廃するホンダも、軽のEV化に力を入れる。三部敏宏社長は「(軽が)EVを広げていくキーになる」と強調。24年に市販する計画だ。一方、スズキは具体的な投入時期を明示していないが、2~3年以内の発売を目指して開発を加速する。
軽を手掛ける各社はジレンマも抱える。EV化では、電池をはじめとしたコスト増が販売価格に跳ね返る。
価格を抑えるために電池容量を減らすと、航続距離が短くなるのが課題。軽自動車は地方で「1人1台」と言われるだけに、自動車大手の関係者は「利用者は価格や性能に敏感。どうバランスを取るかが難題だ」と苦悩している。