英国チームが1500年凍結のコケを解凍後再生


南極近くの島シグニー島で採取、気候変動と生態系変化の関係解明

英国チームが1500年凍結のコケを解凍後再生

南極大陸に近いシグニー島で永久凍土を掘削し、コケを採取する様子。英南極調査所などは約1500年前のコケが解凍後再生したと発表した(ピーター・ボーレン博士提供)

 南大西洋の南極大陸に近いシグニー島(サウスオークニー諸島)の永久凍土から約1500年前のコケを採取し、研究室の実験装置内で地上の生息環境に置いたところ、数週間で再び成長し始めたと、英国の南極調査所とレディング大の研究チームが22日までに米科学誌カレント・バイオロジーに発表した 。

 北極圏のカナダ・エルズミーア島では、氷河の下から発掘された約400年前のコケが解凍後に再生したと同国のアルバータ大などの研究チームが昨年5月に発表している 。

 今回の実験では凍結していた期間が大幅に上回ったが、コケ植物が凍結に耐えられる期間は1500年よりもっと長い可能性があるという 。

 シグニー島の約1500年前のコケは学名が「コリソドンティウム・アキフィルム」で、永久凍土を深さ1・1メートルまで掘削した所から採取された 。

 南北両極に近い高緯度地方ではコケ植物が生態系の中で重要な役割を果たしており、今回の発見は気候変動に応じて生態系がどのように変化するかを解明するのに役立つという。