羽生結弦、ブランクあっても圧巻のSP


8か月ぶりの実戦リンク、ピアノに合わせ満点の演技

羽生結弦、ブランクあっても圧巻のSP

男子ショートプログラムで演技する羽生結弦=24日、さいたまスーパーアリーナ

 右足首のけがもあって、実戦のリンクは8カ月ぶりだった。それでも羽生は期待に応えるように、圧巻のSPを見せた。

 非公認ながら自己ベストまで0・51点に迫るハイスコア。冒頭の4回転サルコーは出来栄え点(GOE)が満点に近く、後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も鮮やか。4回転-3回転の連続トーループは二つ目がやや詰まり「大きく耐えてしまった」と満足しなかったが、加点は付いた。

 新SPはピアニストの清塚信也さんが編曲した「序奏とロンド・カプリチオーソ」。クワッドアクセル(4回転半)の習得を目指す中で壁にぶつかり、また光を見いだしてきた自分の歩みを重ね合わせている。演技構成点の「音楽の解釈」は10点満点だった。

 ジャンプ以外にも見せ場があふれ「エキシビションのように感情を込めて滑っている」。曲調が激しくなる終盤のステップは熱く、スピンをほどいて最後に右拳を突き上げると、大きな拍手が降り注いだ。羽生はその拳をそっと胸に近づけた。

 試合を想定した練習ではSPをミスなく滑り切ったことはなかったという。本番に合わせてくるのは、さすがだった。26日のフリーで、いよいよ4回転半に挑む。「体を回復させて、集中力を高めながら頑張りたい」。前人未到の大技成功にも期待が高まる。