フィリピン邦字紙「まにら新聞」 印刷廃止に
コロナ禍が追い打ち、部数減でニュース配信に移行へ
フィリピンで唯一の邦字紙「まにら新聞」が、今月末で印刷紙面を廃止する。30年の歴史を持つ日刊紙だが、新型コロナウイルスの影響で部数が激減。紙面発行を断念し、ウェブサイトとメールでのニュース配信に移行する。
海外日系新聞放送協会(横浜市)によれば、海外の日刊邦字紙はコロナ禍で減少傾向にある。まにら新聞の紙面廃止で、週6日以上発行する協会加盟の邦字紙は、インドネシアの「じゃかるた新聞」とペルーの「ペルー新報」だけになる。
まにら新聞の中村浩久編集局長によると、創刊は1992年5月で、東南アジア初の日刊邦字紙だった。現在はフィリピンや日本、世界のニュースを日本語と英語で計8ページに掲載。月2回の休刊日を除いて毎日発行し、マニラ首都圏やセブ島で配達してきた。
発行部数は90年代後半に8000部へ達した後、インターネットの発達で減少。新型コロナが追い打ちを掛け、「日本人観光客が宿泊するホテルの購読がゼロとなったのが響いた。駐在員の引き揚げも相次ぎ、印刷紙面の発行を維持できなくなった」(中村局長)という。
31日付の1万488号を最後に紙面の発行を終了。来年からはフィリピンに特化したニュースを有料で配信する。(マニラ時事)