コロナ飲み薬に許可、「医療崩壊」防止に期待
米ファイザー「パクスロビド」に許可、途上国でも普及へ
米食品医薬品局(FDA)は22日、米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルス経口治療薬「パクスロビド」に緊急使用許可を出した。世界各地では新たな変異株「オミクロン株」が猛威を振るい、感染が急速に拡大している。自宅で飲み薬を服用することで重症化を抑制できるようになれば、医療機関が入院患者らで逼迫(ひっぱく)する「医療崩壊」防止への期待が高まりそうだ。
「新型コロナの世界的大流行との闘いで、大きな一歩だ」。FDA高官は22日、コロナ飲み薬の使用が認められたことの意義を強調した。
米疾病対策センター(CDC)によると、20日の新規感染者数は28万人超と、米国で最多の感染者が出た1月以来の高水準。感染者が重症化し、入院患者らが増えて医療現場が混乱する事態の回避は喫緊の課題だ。
コロナワクチンで世界に存在感を示すファイザーは11月、新たに開発した飲み薬が重症化抑制に高い有効性を示したとする臨床試験(治験)結果を公表。病院での点滴による治療薬の投与と異なり、感染者が自宅で服用できる利便性に注目が集まった。
飲み薬の開発は製薬各社がしのぎを削っているが、ファイザー製はオミクロン株に対しても効果を発揮する可能性があるという。その結果、FDAの諮問委員会で先に緊急使用が勧告された米メルク製の飲み薬を追い越しての「スピード認可」となった。
ファイザーは、医療インフラが不十分な低・中所得国向けの飲み薬供給を支援するため、国際的な公衆衛生組織「医薬品特許プール(MPP)」との間で、後発医薬品(ジェネリック)製造を認めるライセンス契約を締結した。「飲み薬は特に低・中所得国に適している」(MPP幹部)とされ、早期普及を期待する声が上がっている。(ニューヨーク時事)