タイで「高専」に熱視線、日本の教育制度を導入


優秀な技術者を育成、人気集め志願倍率は40~100倍

タイで「高専」に熱視線、日本の教育制度を導入

タイのKOSEN―KMITLで授業を受ける生徒ら=16日、バンコク(時事)

 タイで日本の高等専門学校(高専)の教育制度を取り入れ、エンジニアを育てる学校「KOSEN」への期待が高まっている。中学卒業後の5年間、高専のカリキュラムで指導。優秀なエンジニアの輩出を目指しており、タイに多数進出する日系メーカーから熱い視線が注がれている。

 タイ政府の経済開発戦略に寄与する人材の育成を目的に、円借款事業として設置が決定。2019年5月にキングモンクット工科大学ラカバン校にKOSEN-KMITL、20年5月に同大トンブリ校にKOSEN-KMUTTがそれぞれ1学科で開校した。KMITLは23年、KMUTTは24年に3学科がそろう。

 「起立、礼」。今月16日、KOSEN-KMITLメカトロニクス工学科1年の実験教室に入ると、日本語のあいさつが聞こえてきた。生徒らは日本人とタイ人の教員の説明に熱心に耳を傾けながら、はんだ付けの作業を始めた。

 日本式の教育は人気を集め、志願倍率は40~100倍。全国から優秀な若者が集まり、知識と技術を吸収している。授業料には奨学金が充てられ、生徒の負担はない。日本の国立高等専門学校機構は物理や数学の教員を派遣。日本人教員の授業は英語で行う。

 編入試験を経て日本の高専に移ることもできる。(バンコク時事)