ワクチン3回目接種、高齢者施設で続々開始


東京・大阪で開始、オミクロン株の市中感染に警戒強まる

ワクチン3回目接種、高齢者施設で続々開始

東京都世田谷区内の特別養護老人ホームで3回目のワクチン接種を受ける入所者=23日(同区提供)

 新型コロナウイルスワクチンをめぐり、大阪市や東京都世田谷区などでは23日、一部の高齢者施設の入所者らを対象とした3回目接種が始まった。大阪府に次ぎ、京都府でも新型コロナの変異株「オミクロン株」の市中感染が確認され、感染再拡大への警戒感が強まる中、関係者は準備を急ぐが、前倒し接種は一部にとどまる見通しだ。

 政府は先週末、2回目接種からの間隔をこれまでの原則8カ月から短縮すると決定。高齢者施設は「6カ月」間隔とした。

 これを受け、大阪市浪速区の介護老人保健施設では、3回目の前倒し接種が始まった。23日は6月末までに2回目を受けた入所者や職員計12人が対象。接種を終えた入所者の女性(88)は「早めに接種し、予防させていただいてありがたい。安心した」と笑みを浮かべた。入所者の男性(92)はオミクロン株について「やっぱり怖さは感じている」と語った。

 東京23区のうち、人口が最多の世田谷区は同日、特別養護老人ホーム2カ所で入所者らに対し、前倒し接種を開始。来年3月末までに区内の高齢者施設入所者や職員約1万5000人の3回目接種を完了させたい考えだ。保坂展人区長は記者団に「オミクロン株が世界中で大変な猛威を振るっている。(接種を)急ぎたい」と強調した。

 同日には、文京区や練馬区でも接種に着手。既に始めている江東、北、板橋各区を含め、少なくとも6区が前倒しに取り組んでいる。ただ、担当者からは「国の方針発表がずれ込み、前倒し接種するための人手確保が間に合わない」との声も漏れている。