福島の小学校で、たった1人の卒業式
「いつか新入生を」、原発事故の影響で休校に
東京電力福島第1原発事故などの影響で児童が減り、6年生1人だけになっている福島市の大波小学校で20日、卒業式が開かれた。来年度の入学予定者は別の学校に通うことを希望し、児童数がゼロとなるため、同校は4月からの休校が決まっている 。
卒業生は佐藤隆志君(12)。式では「大波小の卒業生であることに誇りと自信を持ち、夢の実現に向かって努力していきたい。いつまでも大波地区を大事にしてくれることをお祈りします」と、別れの言葉を大きな声で述べた。終了後には「学校は第2の母。休校になるのは悲しいが、いつかまた新入生を明るく迎えてほしい」としみじみ話した 。
2011年3月の原発事故直後、30人いた児童は自主避難や卒業などで激減し、今年度は佐藤君だけに。周辺地区は早期に除染が行われ自主避難者も戻ってきているが、少人数教育の影響を心配し、子どもを学区外の大きな学校へ通わせる人が多いという 。
阿部正明校長は「事故がなければ小規模でも学校を維持できたはずなのに」と悔しさを口にする 。
教員らは、授業では机を二つ並べ、陸上や剣道の練習を通じて、佐藤君が寂しがらないよう心掛けてきた。週2回ほど隣の小学校の授業に交じり、同年代とのコミュニケーション不足も解消。4月から同じ中学校に通う友人もできたという。