日馬富士が張り手で返礼、稀勢の里を退ける


大相撲春場所、白鵬・日馬富士が11連勝

日馬富士が張り手で返礼、稀勢の里を退ける

日馬富士(奥)は稀勢の里をはたき込みで下し、11連勝=19日、大阪・ボディメーカーコロシアム

 日馬富士は気合をぶつけるような張り手を連発。稀勢の里の上体を起こし、間髪入れずにはたいて落とした。「まともに顔に入ったからね。(勝負は)立ち合いで決まる」。会心の一勝に、支度部屋では冗舌だった。

 最近は立ち合いで後手に回ることが多く、直近の対戦は5連敗中だった。それでも対戦を「楽しみにしていた」という。「僕より努力しているし、『俺も頑張らないと』と気合をもらうから。あいつに負けても、意外と悔しくないんだよ」。稀勢の里がいる先には何度も足を運んで出稽古してきた。骨のある大関に一目置く日馬富士が、張り手に横綱の意地を込めたのだろう。

 先場所は左足首の回復が遅れて全休したが、今場所は相撲勘が鈍った様子もなく、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「波に乗って、集中力が増している」とみる。

 この一番で右肘付近を痛めたようで、何枚も湿布を貼って引き揚げた。「大したことじゃない」と日馬富士。12日目は綱とりの鶴竜との対戦。まだ抱いたことのない春場所の賜杯が徐々に視界に入り、「自分の相撲を取るだけ」と力を込めた。