カキ・タラの販売好調、師走で豊洲じわり活気


制限緩和で飲食店から注文増、ウニやカニは高騰続く

カキ・タラの販売好調、師走で豊洲じわり活気

旬を迎えたカキやタラのシラコをアピールする仲卸業者=11月30日、東京都江東区の豊洲

 水産物の需要が高まる師走に入り、東京・豊洲市場(江東区)の取引に少しずつ活気が戻ってきた。旬を迎え、鍋の具材で定番のカキやタラなどは、売れ行きが伸びている。一方で正月の食卓を彩る高級品のウニやカニは、品薄による高値が続きそうだ。

 新型コロナウイルスへの警戒が続くものの、都内で飲食店の営業時間や会食の制限が緩和されたこともあり、同市場では旬の魚介類の取引が徐々に活発化。高級すし店などを顧客に持つ同市場の仲卸業者は「注文が増え、コロナ前の忙しさにだいぶ戻ってきた」と胸をなで下ろす。

 「海のミルク」とも呼ばれるカキは、主産地の岩手県や宮城県、広島県などから豊洲市場にも順調に入荷。生産量が上向いているといい、同市場12月上旬のむき身の卸値は、前月上旬から3割前後値下がりしている。仲卸業者は「身がぷりっとしていて、味が濃厚で香りも良い」と話す。

 冬の魚を代表するタラも、出回りが本格化している。今年は北海道で「例年にないほどの豊漁」と産地関係者。都内では、新鮮な白身に加え、雄からとれる珍味のシラコを並べる小売店もあり、「くせの少ない軟らかい身と、クリーミーなシラコの両方を味わって」(小売り関係者)とアピールする。

 旬の魚介類が好調な半面、北海道で赤潮被害の影響などを受けているウニや、米国などで需要が高まっている輸入物の冷凍タラバガニは、品薄で高騰。豊洲の卸会社によると、前年同時期に比べてウニは倍値近く、カニは6割高といい、「正月も食べられなくなるのでは」(同市場関係者)と心配する声も聞こえている。