照ノ富士が全勝優勝、納めの場所を主役が締める
大関に返り咲き綱取りも達成、20代最後は感慨の一年に
照ノ富士が心掛けてきた「不動心」は、初の全勝が懸かる一番を前にしても変わりはない。「土俵に上がればいつも同じ気持ち。自信を持ってやり切るだけ」。今年最後の結びで信念を貫いた。
どっしり構え、貴景勝の突き押しを何度もはね返した。左喉輪にのけぞりながらも反撃。前傾姿勢で前に出て、左手一本で押し出した。今場所を象徴するような、相手の攻めを真っ向から受け止める内容。「理想の相撲になりつつある」との手応えがある。
今年4度目の賜杯を抱き、師匠でもある伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「しっかり横綱の責任を果たしている」と評価。一年納めの場所は、今年の主役が照ノ富士だったと強く印象付けた。
29日に30歳の誕生日を迎える。今年は春場所後に大関に返り咲き、悲願の綱とりも達成。20代最後は最高の一年になり、「こんな形になるとは夢にも思っていなかった。一生懸命やってきてよかった」と感慨に浸った。
来年の目標には、優勝回数を2桁に乗せることを掲げた。「そう簡単にいくことではないと思うが、自分なりに努力して頑張っていきたい」。責任感の強い一人横綱は次の高みを見詰めている。