オリックス初のCS突破、中嶋監督の采配さえる
土壇場で2度の強攻が結実、9回裏にロッテに追いつく
オリックスの中嶋監督は策士だ。相手ベンチの動き、守備陣形などを見て、時に大胆な作戦を仕掛ける。日本シリーズに王手をかけて迎えた第3戦。土壇場でその本領を発揮した。
1点を追う九回無死一、二塁。途中出場の小田が打席に立った。主に代走や守備固めの選手。ロッテは当然のようにバントと判断し、一塁手が猛チャージをかけた。
監督は「バントの頭はあったが、向こうの守備もある。いろいろ考えた」。導き出したサインはバスター。小田は初球をバントの構えから迷いなく引っ張った。一塁線を破る劇的な同点打。伏兵の大きな働きに、今季のチームらしさの一端がうかがえた。
直前の無死一塁でも強気な策がはまった。小技のうまい安達は初球のバントを失敗後、強攻に切り替えた。左前打でつないで好機を演出。選手を信じての思い切ったタクトは「最高の形」で実を結んだ。
初のCS突破。中嶋監督が選手として頂点をつかんだ1996年以来、25年ぶりの日本一を狙う。「あとは、もう、その先までいきたい」。苦手だというお立ち台だったが、言葉は力強かった。