政府、ユネスコ「世界の記憶」候補に2件決定
増上寺の仏教聖典と円珍関係文書、2023年に審議予定
文部科学省は10日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)「世界の記憶」の国内候補として、増上寺(東京都港区)が収蔵する仏教聖典「浄土宗大本山増上寺三大蔵」など2件を推薦すると発表した。申請された11件の中から、同日開かれた関係省庁連絡会議で決まったという。
もう1件は、日本と中国の文化交流の歴史を伝える「智証大師円珍関係文書典籍-日本・中国のパスポート-」。2023年のユネスコ執行委員会で登録の可否が審議される予定。
三大蔵は、17世紀初頭に徳川家康が日本全国から集め、増上寺に寄進した木版印刷の仏教聖典。中国や朝鮮で12、13世紀に作成され、総計約1万2000点に及ぶ。仏教研究に欠かせないといい、浄土宗(京都市)と増上寺が申請した。
円珍関係文書は、保管する園城寺(大津市)と東京国立博物館が申請。日本に密教を伝えた円珍が唐から持ち帰った通行許可書も含まれ、国宝に指定されている。
世界の記憶は、世界的に重要な資料の保存などを目的とするユネスコの事業。今年4月から各国政府を通じて申請する方式に改められ、文科省の審査委員会が非公開で審議していた。