香港民主派の羅冠聡氏、「自由」のため闘う


著書「フリーダム(自由)」を出版、香港の現状を訴え

香港民主派の羅冠聡氏、「自由」のため闘う

4日、ロンドンで自著「フリーダム(自由)」を前に、記者会見する香港民主活動家の羅冠聡氏(時事)

 英国に亡命した香港の民主活動家、羅冠聡氏が4日、著書「フリーダム(自由)」を英国で出版した。ロンドンで記者会見した羅氏は「政治的エリートだけでなく、普通の人も自由のために闘っている。(自由への欲求は)良心から生じる」と強調。「独裁政治の脅威、民主主義のもろさ、(政治や言論面で中国の強い圧力にさらされる)香港の現状について認識を高めてほしい」と訴えた。

 香港民主派による2014年の大規模デモ「雨傘運動」を主導した羅氏は、中国政府が香港統制を強化する「国家安全維持法(国安法)」が昨年6月に施行されたのを受けて香港を離れ、渡英。その後英国亡命が認められ、現在はロンドンを拠点にメディアなどを通じて活動を続けている。

 「それ(自由)をどのように失い、どのようにして反撃するか」との副題が付いた著書は221ページ。香港で展開した民主化デモの経緯や背景を説明し、当局の統制で自由を奪われた生活、活動家が直面する困難などについて個人的な思い出を交えてつづった。日本を含む世界各国での翻訳出版も検討されているという。

 羅氏は記者会見で「香港はかつてアジアで最も自由だったが、民主主義に守られなければ信じられない速さで社会が侵食される(事例となった)」と警告。「より多くの人たち、特に若い人が民主活動に関わるよう働き掛けたい。希望を失わず、世界をより良い場所にするために人々を力づけたい。この本がそのためのけん引役になれば」と語った。(ロンドン時事)