米南部バージニア州の知事選で共和党が勝利
中間選挙に向け民主党に打撃、討論会での失言が影響
米南部バージニア州の知事選が2日、投開票され、米メディアによると、共和党候補で投資会社カーライル・グループの元共同最高経営責任者(CEO)のグレン・ヤンキン氏(54)が、民主党のテリー・マコーリフ前同州知事(64)を破って勝利を確実にした。バージニア州知事選は、来年11月の中間選挙の前哨戦として全国的な注目を集めていた。近年、民主党色を強めていた同州での敗北は、バイデン大統領や民主党にとって打撃となる。
昨年の大統領選でバイデン大統領は同州で、約10ポイント差をつけてトランプ前大統領に勝利。今回マコーリフ氏は、8月上旬には約8ポイントの差をつけていたが、その後ヤンキン氏が猛追し、接戦となっていた。
公立学校におけるトランスジェンダーの権利拡大方針などへの親からの反発が都市郊外などで高まる中、マコーリフ氏が9月下旬の討論会で「親が学校に口出しするべきでない」と失言したことが大きく響いた。また、インフレが進行する中、ヤンキン氏は、食料品に対する州税の廃止などの減税策を打ち出すことで支持を広げた。
ワシントン・ポスト紙などによる出口調査によると、最も重要な争点に「経済・雇用」が33%で最も多く挙げられ、続いて「教育」が24%。これらでヤンキン氏がより多くの支持を得た。一方、マコーリフ氏が強みを持つ「新型コロナウイルス対応」を挙げる人は、感染者数が減少傾向にあることもあり、13%にとどまった。
またヤンキン氏は、共和党支持層に人気の高いトランプ氏からの支持を受けつつ、同氏と一定の距離を保つことで、保守層に加え無党派層にも浸透した。共和党にとって、こうした戦略が中間選挙の接戦区を戦う上で一つのモデルになる可能性も指摘される。(ワシントン山崎洋介)