イスラエルNGO、アフガン退避作戦に成功


抑圧が懸念される女性ら160人超を「手に汗握る退避」

イスラエルNGO、アフガン退避作戦に成功

アブダビの難民センターに到着したアフガニスタン人ら=9月6日(イスラエイド提供・時事)

 イスラエルのNGOが9月以降、イスラム主義組織タリバンが実権を握ったアフガニスタンから秘密裏に、女性ら計160人超をアラブ首長国連邦(UAE)など国外に退避させることに成功した。イスラエル人慈善家らと連携して実現したもので、「手に汗握る退避」(英紙デーリー・テレグラフ)などとイスラエル内外で話題となっている。

 イスラエルの人道支援NGO「イスラエイド」が今月13日に発表した声明などによると、9月6日、アフガンの女子生徒や女子自転車選手ら42人をタジキスタン経由でUAEに退避させた。今月2日には、同様の作戦により、裁判官や人権活動家、外交官ら125人がアルバニアに到着した。いずれも「タリバン政権下で特に抑圧が懸念される人々」で、大半が女性。最終的にはカナダやフランス、スイスといった国々に再定住する見通しだという。

 アフガン国境地帯などで一連の作戦に携わったイスラエイド代表のヨタム・ポリツェルさん(38)によると、世界各地で人道支援活動を行ってきたポリツェルさんに、1回目の退避グループのアフガン人らと関係を持つ知人から救出依頼があったのがきっかけ。首脳や有名実業家を含むさまざまな人のつてを頼って、最初の作戦を成功させると、うわさを聞いたほかの人々からも依頼が殺到したという。

 ポリツェルさんは取材に対し、2回目の退避グループが国境近くでタリバンに一時拘束された時の交渉が一番大変だったと明かした。一行には民主政権時代の外交官や裁判官も含まれていたため、「もし身元が分かればタリバンに殺害されかねない」と恐怖を感じたという。何とか苦境を切り抜け、「退避できたのは奇跡だ」と振り返った。

 作戦成功の一因には、昨年8月にイスラエルとUAEが国交正常化で合意したこともある。ポリツェルさんは「UAEにとっては、今回の作戦を通じてイスラエルとの連携を示すことが重要だったようだ」と指摘した。(時事)